ワークショップ

6月29日(土)16:30-18:00

「ニューロフィードバックの臨床応用-当院での経験を中心に―」
竹内 聡先生
(たけうち心療内科院長)

  ニューロフィードバック(以下NF)は一般的には脳波を用いたバイオフィードバック(以下BF)を意味するが、広義には様々な脳神経活動(DC電位、脳血流)のBFである。最近、fMRIを用いたデコーディッドニューロフィードバックの研究が注目されているが、一般臨床では扱いやすさや応用範囲の広さなどから脳波フィードバックが用いられることが多い。脳波フィードバックの方法自体多彩であるが、脳波解析技術の進歩により、さらに大きく変容している(Z-score 、LORETAなど)。 
  NFの歴史は1960年代までさかのぼり、海外ではめざましい発展を見せている。しかし、日本において実地治療においてBFが用いられること自体少なく、NFに至っては医学的治療として行われることは極めて稀である。現在、国内でもNFは少しずつ広がりを見せているが、NFに関する情報を共有するような組織的活動には至っていない。
  NFを理解する上で、通常のBFとの違いが重要となる。BFは意識できない情報を意識できる形に変換して意識的に制御することを支援する技術といえる。脳波を意識的に制御することと誤解されると、いかがわしいものと思われかねないが、NFは脳から得られた情報を意識ではなく、脳機能そのものにフィードバックし、脳に自律的にある種の反応パターンを学習させるという技術である。自覚的操作は自覚できる範囲に制限されてしまうが、NFにより本人が自覚できない情報がフィードバックされることにより、脳の機能的拡張が促される可能性がある。脳の自己組織化という性質により、ほんのわずかな機能的拡張が大きな変化を生み出す可能性もある。
  当院では2007年より心身医学的治療の一つとしてNFを導入し、現在まで年齢、疾患を問わず、様々な状態の改善の一助として利用してきた。NFの技術の進歩はめざましく、個人的経験ではNFの全貌を紹介することは困難であるが、当院での経験をベースとしてNFの効果と限界、今後の展望について紹介したい。