ご 挨 拶


    この度、第47回日本バイオフィードバック学会学術総会を愛知学院大学(名城公園キャンパス)にて開催させていただきます。これまで学会ではバイオフィードバックの背景メカニズムや介入方略、多様な技術開発などについて活発に討論がなされ、バイオフィードバック研究の成果は医療、福祉、スポーツ、心理療法などへ応用され、社会的な貢献を果たしています。この度、伝統あるバイオフィードバック学会を開催させていただくにあたり、学会におけるこれまでの議論を踏まえつつもこれからを担う若手研究者の発想にスポットをあてたいと考え、テーマを「BFの芽を育てよう」としました。
   大会の目玉は若手研究者によるポスター発表(ヤングサイエンティスト・ポスターセッション)です。今回、懇親会の場でこれを開き、会員相互の親睦を深めながらリラックスした雰囲気の中で討論を行います。優秀なポスター発表を表彰し、“BFの芽を育てる”企画にしたいと考えております。
   これに加え、さらなるバイオフィードバック研究の発展に繋がるよう、鋭意企画を準備いたしました。「ニューロフィードバックの臨床応用-当院での経験を中心に―」はチュートリアル形式のワークショップとして竹内聡先生(たけうち心療内科)にお願いし、シンポジウム「筋電図バイオフィードバックを用いたリハビリテーションの新しい展開」は辻下守弘先生(奈良学園大学)に企画していただきました。いずれもバイオフィードバックの多様な応用可能性について知ることのできる興味深い内容です。また、今回のバイオフィードバック技能師資格認定講習会は「心拍変動」をキーワードとしてとりあげ、 工学・心理学・医学分野における開発、臨床実践、応用的研究の側面から構成しました。こちらも参加される方にとって具体的で日頃の実践に役立つ内容になっております。
   本学術総会の特別講演は、早野順一郎先生(名古屋市立大学大学院医学研究科)にお願いしました。早野先生はこれまで、1)生体信号のゆらぎとストレス、休息、自律神経機能の関連メカニズム、2)心拍のゆらぎによる健康リスクの予測モデル、3)生体信号処理アルゴリズムの開発、4)日常活動下の心電図、身体加速度ビッグデータ・プロジェクト、5)照明環境が生理機能に与える影響とその制御、6)センサーデバイスの開発など数多くの研究成果をあげておられます(http://hbsl.jp/index.html)。ご講演では、早野先生のこれまでのご研究とその背景にある「研究の発想や技術開発のコツ」、さらには「研究を通じた社会貢献のあり方」などについてうかがいながら、これからのバイオフィードバック研究に役立つヒントを得たいと考えております。
   本学術総会がバイオフィードバック研究の萌芽を育て、かつ私たちの内なる資源を醸成する機会になることを願っております。
第47回バイオフィードバック学会学術総会
榊原 雅人