御 礼


  第47回日本バイオフィードバック学会学術総会を2019年6月29日・30日に愛知学院大学(名城公園キャンパス)にて開催し、学生を含む80名の会員・非会員の方にご参加いただきました。皆様の多大なるご協力に心より感謝申し上げます。

  学会ではこれまでバイオフィードバックの背景メカニズムや介入方略、多様な技術開発などについて活発に討論がなされ、その成果は医療、福祉、スポーツ、心理療法などへ応用されています。今回の学術総会はこのような議論を踏まえつつもこれからを担う若手研究者の発想にスポットをあてたいと考え、大会テーマを「BFの芽を育てよう」としました。

  今回、大会の目玉として設定した若手研究者によるポスター発表(ヤングサイエンティスト・ポスターセッション)を懇親会の場で開きましたので、会員相互の親睦を深めながらリラックスした雰囲気の中で討論を行うことができました。学会冒頭のオープニングセッションでは発表者からそれぞれの研究に対する抱負が述べられ、いずれも“将来的な展望の下、真剣に構想した研究であること”が熱く伝わってきました。ポスターセッションでは優秀な発表に投票がなされ、その結果、「中高年の継続的運動のモチベーションを高めるシステム〜AIスピーカとスマートフォンの応用可能性〜」(荒井良太・大阪工業大学ロボティクス&デザイン工学研究科、大須賀美恵子・大阪工業大学ロボティクス&デザイン工学部)が最優秀賞に選ばれました。これを含め、各ポスター発表は随所に工夫を凝らした優れた研究であったと思います。

  ワークショップは「ニューロフィードバックの臨床応用-当院での経験を中心に―」として竹内聡先生(たけうち心療内科院長)にご講演をいただき、チュートリアル形式による体験的な学習が可能となりました。脳波のバイオフィードバックであるニューロフィードバックは近年、発達障害を中心に適用が進められていますが、欧米や韓国などに比べ日本では実践例が少なく、講師はわが国でこの分野をリードする貴重な存在であります。ニューロフィードバックの効果、適応範囲、技術的な特長について活発な討論が展開され、今後、日本においてもニューロフィードバックによるアプローチが増えていく可能性が感じられました。

  また、シンポジウムは「筋電図バイオフィードバックを用いたリハビリテーションの新しい展開」として辻下守弘先生(奈良学園大学教授)の企画をもとに進められました。「メディア・アートを用いた筋電図バイオフィードバックの可能性」(長嶋洋一先生)、「スマートフォンを用いた低コスト筋電図バイオフィードバック装置の開発と応用」(鈴木里砂先生)が基調発表を行った後、「生体センサを用いたバイオフィードバックの未来」(照岡正樹先生)の指定発言がありました。いずれもバイオフィードバックの多様な応用可能性について知ることのできる内容でした。

  本学術総会の特別講演は、「心拍数の観察と分析、そして応用」として早野順一郎先生(名古屋市立大学大学院医学研究科教授)にご登壇いただきました。講演では生体信号のゆらぎと自律神経機能の関連について、心拍ゆらぎによる健康リスクの予測、日常活動下の心電図、身体加速度ビッグデータ・プロジェクト、照明環境が生理機能に与える影響などの話題が展開され、これらの背景にある「研究の発想や技術開発の要点」、「研究を通じた社会貢献のあり方」について知識を深めることができました。

  総じて、本学術総会の開催がバイオフィードバック研究の萌芽を育てる役割を果たし、かつ参加して下さった皆様の内的資源を刺激して将来のバイオフィードバック研究の展開に少しでも繋がっていくならば、大会企画者として大きな喜びであります。
榊原雅人