認定バイオフィードバック技能師資格認定講習会について

工学系講習会
6月29日(土)10:00-11:00
「リラクセーションを学ぶための呼吸誘導バイオフィードバック装置の開発と評価」
浦谷裕樹
(EQWELLチャイルドアカデミー)

  リラクセーションをもたらす効果的な方法の一つに,心身を落ち着ける呼吸法の習得が挙げられる.一般的にもゆっくりと深い呼吸をすることが「緊張するよう な場面に遭遇したときに,心を落ち着ける方法」として支持されており,呼吸法は誰にでも取り組みやすく親しみやすいリラクセーション方法の一つであるとい える.その呼吸法の中でも,最も健康増進に効果的な呼吸周期を調べたものに心拍変動バイオフィードバック(HRV-BF)の研究が挙げられる.成人を対象 とした数多くのHRV-BF研究では,心拍変動の振幅が最大となる約10秒周期(6cpm)前後のリズム(共鳴周波数)で呼吸を続けることで圧反射が改善 され,種々の慢性病が改善すると言われている.この共鳴周波数で呼吸をするための呼吸誘導装置を調べたところ,成人向けにはいくつか存在しているが,子供 向けに適したもの,特に幼児や小学校低学年に適したインターフェースのものは存在していなかった.そこで,リラクセーションを学ぶための子供向けの呼吸誘 導装置を開発することにした.
  はじめに子供の共鳴周波数を調べたところ,成人と同じく10~12秒の範囲内にあった.しかし,主観的に最もリラックスし,呼吸が合わせやすい呼吸周期は 共鳴周波数と異なっていた上に,7歳以下の子供たちは8秒以上の呼吸周期には誘導されにくかった.そこで,開発する呼吸誘導装置では,自然な状態の子供の 呼吸周期を計測し,その呼吸周期から呼吸誘導を開始して,子供のペースに合わせて徐々に呼吸周期を長くすることにした.また,子供が親しみを感じ,直感的 に呼吸誘導されるように,インターフェースはぬいぐるみを使用したものにした.
  開発した呼吸誘導ぬいぐるみを用いて子供たちの呼吸が誘導できることを確かめた上で,リラクセーション効果を調べたところ,単にぬいぐるみをハグしている だけの時よりも,呼吸誘導された時の方がリラックスすることがわかった.今後の研究の方向性としては,生理データや健康状態の共有のために通信機能を付加 したり,インターフェースを変えて成人向けに応用したり,心身に不調がある患者に適用することなどが考えられる.


心理学系講習会
6月29日(土)11:00-12:00
「臨床に活かす心拍変動バイオフィードバック」
榊原雅人
(愛知学院大学心身科学部心理学科)

  心拍変動バイオフィードバックは約0.1Hz(1分間6回)のペース呼吸を基盤としたリラクセーション技法である。これまで喘息、大うつ病、線維筋痛症、 PTSD、不眠、不安などにおける症状を緩和する効果が報告され、医学、心理学、スポーツなどに関わる領域で実践されている。日本における臨床的な応用に ついては今後のさらなる展開が期待されており、この講習会では、本法を有効に活用するために必要な3つのポイントを解説する。1)共鳴周波数の検索-心拍 変動バイオフィードバックはゆっくりしたペース呼吸によってホメオスタシス機能を刺激することで臨床的な効果を発揮すると考えられている。ホメオスタシス 機能の効率的な刺激には個人に特有な共鳴周波数の検索が重要で、これをもとにペース呼吸を行うことで訓練の効果が高まると考えられている。講習会では、心 拍変動バイオフィードバックについての一般的な解説を行った後、共鳴周波数の検索手続きを紹介する。2)適切なペース呼吸の実施-臨床場面で呼吸の調節を 指導する際、正確なペース呼吸にこだわるあまりクライエントは呼吸のしづらさを経験する場合もある。治療場面でリラックスしながら気楽に実施できるペース 呼吸のコツを解説する。3)練習量-心拍変動バイオフィードバックは日常的にどの程度実施すればよいのだろうか。訓練プロトコル(Lehrer et al.,2013)を参考にしながら、毎日の練習を持続する工夫について考える。最後に、さまざまな心理支援のスタイルに合わせた心拍変動バイオフィード バックの活用について参加者と情報を共有したい。


医学系講習会
6月29日(土)13:30-14:30
「寒冷地における心拍変動の特性」
及川欧
(旭川医科大学病院リハビリテーション科)

(医学系講習会のご案内)
  寒冷地における心身の適応について心拍変動の側面から解説していただきます。これをもとに、近年、取り組んでおられるリハビリテーションにおける心拍変動バイオフィードバック訓練の可能性について解説していただく予定です。


講習会への参加について

  学術総会初日6月29日(土)午前・午後にバイオフィードバック技能師の資格認定講習会が開催されます。今回は「心拍変動」をキーワードとしてとりあげ、 工学・心理学・医学分野における開発、臨床実践、応用的研究の側面から構成しました。参加される方にとって具体的で日頃の実践に役立つ内容になっておりま す(各60分間)。講習会はどなたでも受講することができますので、ホームページから気軽にお申し込み下さい。
  受講した会員には、各科目2ポイントの資格認定ポイントが与えられ、後日、所定のレポートを提出するとさらに2ポイントが与えられます。非会員の方も受講できますが、ポイントは発行されません。